Shibaのブログ

日々の読書や芸術鑑賞、旅行などの体験を記録するとともに、その中で感じたこと、考えたことを記述します。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

歴史は運動であり、固定化されたパターンではない。――宇佐美圭司『廃墟巡礼』(平凡社新書):書評【日日書感No.4】

西欧近代がアジア諸国を飲み込み、グローバルなシステムの中に組み込んだ後、つまり、アジアが近代化という波にのまれた後、著者はその「大洪水のあと」のアジア・アフリカへと旅に出た。そして彼の旅とは、「つるつる」の表面ではない、その奥底に潜む「ざ…

「失敗」ということについて【日日所感No.9】

以下は、某文芸雑誌の懸賞に応募するために書いたものですが、結局応募できなかったので、ここに載せて供養したいと思います。 * * * * * さて、私は今から失敗について書きたい。失敗とは、どのように捉えられているだろうか。よく言われる「失敗は成…

学生は「国の宝」ではありません。一学生の主張。【日日所感No.8】

まず、自己紹介から始めたい。私は現在都内の某大学で日本文学を専攻している学生である。なぜ日本文学を学んでいるかと言えば、日本文学に魅かれたからである。私は特に近代文学を学んでいるが、古典まで含めて、日本の文芸は人並み以上に読み込んでいる自…

事実が価値を持たなくなる時代とは――津田大介・日比嘉高『「ポスト真実」の時代』(祥伝社):書評【日日書感No.3】

近年世界中で見られる、事実の軽視と虚偽の蔓延、社会の至る所で広がる分断、それらは私たちの時代が抱えている危機である。そのような事態は、「ポスト真実(post-truth)」と呼ばれる。根拠のないデマやヘイト、フェイクニュースなどが大規模に拡散され、…