書評
西欧近代がアジア諸国を飲み込み、グローバルなシステムの中に組み込んだ後、つまり、アジアが近代化という波にのまれた後、著者はその「大洪水のあと」のアジア・アフリカへと旅に出た。そして彼の旅とは、「つるつる」の表面ではない、その奥底に潜む「ざ…
近年世界中で見られる、事実の軽視と虚偽の蔓延、社会の至る所で広がる分断、それらは私たちの時代が抱えている危機である。そのような事態は、「ポスト真実(post-truth)」と呼ばれる。根拠のないデマやヘイト、フェイクニュースなどが大規模に拡散され、…
『サピエンス全史 上』頭を抱えるサピエンス男性は、我々が犯した罪の重さを表すのか、はたまた、我々の未来への不安を示すのか……。 本書は、世界中で1000万部を超えるベストセラーとなり、一世を風靡した本である。流行した理由としては、恐らく内容が…
奥野健男著『日本文学史』中公新書212 本書は、日本近代文学を、明治初期の江戸時代の影響が濃い戯作文学から、戦後高度経済成長期の石原慎太郎や大江健三郎まで時代順に解説し、俯瞰的にまとめたものである。作家作品の背景にある文芸思潮の解説に特色が見…