Shibaのブログ

日々の読書や芸術鑑賞、旅行などの体験を記録するとともに、その中で感じたこと、考えたことを記述します。

ここ最近の状態について

 前の水曜日に、精神科に行った。そこでは、以前受けた文章完成テスト(SCT)の結果のフィードバックと、通常診察が行われる予定だった。そのフィードバックのためのカウンセリングを受けたのだけど、なんだかよくわからなかった。テストの結果も明確な疾患名として出るのかと思いきや、曖昧にされていた。質問すればよかったと後悔している。精神科医の先生による通常診察では、やはり鬱状態が改善しないということで、今まで出されていた抗不安不眠薬に加えて、抗うつ剤SSRI)が出された。次回の予約を取り、薬局で薬を買い、ついに僕は病人になったんだなという自覚と、将来に対するぼんやりとした不安だけが残った。

 SSRIは効いているのだろうけど、よくわからない。たしかに、悲しみで涙があふれてくることはなくなったし、多少眠れるようにもなったと思う。しかし、同時に前以上に落ち着きがなくなり、常に体がそわそわする。目に視えない何かに対する焦りや不安みたいなものが常に付きまとう。食欲なども戻らない。むしろ減ったかもしれない。めまいと倦怠感が四六時中襲ってくる。頑張れば本などを読んで、思考を巡らせることはできるようになった。ただ、それも調子の良い時に限る。日中の半分くらいは横になっていて何もできないし、動けたとしても何かが出来るわけではない。かなり頑張って食事の準備くらいだ。

 人と話す間は、少し気が楽になる。誰かと関わっていないと、本当に不安に押しつぶされて消えそうになる。特に自分が好意を持っている相手に裏切られたり、捨てられたりすることが怖くて怖くてたまらない。たぶん僕は今付き合いを持っている人たちに捨てられたら死ぬだろうと思う。あまり周りの人に負担を押し付けたくないから、こんなことは口で言わないけれど、僕はすぐにでも消えてしまいたくなることがある。昨日も夜中、よく眠れずに起きてしまって、台所に水を飲みに行ったとき、出しっぱなしの包丁の刃が僕を誘ったように感じた。

 最近すごく優しい人と話すことがある。その人は本当に優しいのだけれど、たぶん僕以外にも優しいのだろう。僕はその人が優しく振る舞う他人の一人でしかない。その人には特別な存在がたぶんいて、その相手にだけ見せる姿がある。それは弱い姿かもしれないし、強がりかもしれないし、甘えかもしれない。それを僕はみることができない。僕は誰かの特別であることができない。僕へのやさしさは、弱者への憐れみ以上のものではない。

 頭を使うことが苦手になった。不安ばかりがあるんだけど、それを解決する方法が考えられない。抗うつ剤抗不安薬も、脳の機能を落ち着けてしまう。だから常に眠気がある。倦怠感がある。病気の症状を治すために薬を飲んでいるはずなのに、これでは薬で病気を加速させているような感じだ。でも薬がなければ寝ることもできないだろうし、もっと突発的で衝動的な行動をとってしまう。理性で抑えられないことが多い。薬のせいかしらないけど、時々本能的衝動みたいなものが身体反応に現れてくる。身体反応が抑えられない。マイナスの感情が無理やり抑えられていることで、感情が捻じ曲がっているように思う。もう尾崎の曲を聴いても素直に泣けなくなった。僕の涙をかえしてほしい。

 うつ病患者は、自分の不幸をひたすらに嘆く特徴があるという。僕もその特徴にもれず、不平をこぼすようになった。それも治療の一つと思うので、色々口に出したり人に頼ったりこうやって文章にしたりするが、それもいつまで続けられるかわからない。本当に苦しい。

 精神疾患というのは心の病だとか言われるが、その実はただの脳の機能不全であると思う。単純化すれば、臓器が病気になっているということだ。それも人間の思考や行動をつかさどる臓器が病になるのだから、人間の全てがおかしくなる。心の病だとかいうから、甘えだとか自力でなんとかできるとか言いだす人間が出てくるのだ。脳の病気と言いきったらどうだろう。

 いざ自分がそういう疾患になってみると、過去の自分の想像力がいかに乏しかったのかがわかる。これくらいのつらさだろうなと思っていたことの数十倍はつらい。もう自分の行動が自分で制御できないのだ。勝手に足が動く、勝手に手が動く、勝手に体が反応する。あるいはその逆で、全く動かなくなる。どこへ行くでもないのに、じっとしていられない。頭が常に痛い。頭の中で虫が動いているような感覚がする。苦しみでうめく、叫ぶ。頭が破裂しそうなほど苦しいのでかきむしる。何かやらなきゃと思うが何もできない。何をしていいのかもわからない。自分という存在が、自分でなくなったような感じがする。

 薬のせいで、常に眠気があるから、よく寝ている。でも寝ても寝ても頭の鈍い痛みは取れない。楽しさなど感じることはなく、悲しみは無理矢理押し込められ、深い憂いと無の感覚だけが支配する。世界が灰色に見える。やさしい人もいつまで僕に構ってくれるだろうか。怖くなる。人に捨てられたら僕は生きていけない。僕はあなたがいないと生きていけない。でもそんなこと言えない。そんなことを言えば、気持ち悪がられる。自立できない弱い人間だと思われる。本当は誰かの特別になりたい。あの人の特別になりたい。でもあの人の特別はほかにいて、僕はそれを知らないようにしている。あの人は僕にそれを知らさないようにしている。それを早く知りたい思いもある。それを知ったら、数少ない綺麗な思い出だけを抱きしめて、僕はビルの屋上から飛ぶ。

 人生っていうのは、僕はたった一つの、石ころ程度の幸せがあればいいと思っている。人にやさしくされた、それだけで僕の人生は価値あるもののように思っている。僕は人生なんてそんな大層なものに思わない。ただ生きて、死ぬだけだ。意味なんてないし、だからこそ、どんな小さな意味でも、意味づけができたとき、その人生は救われるように思う。

 僕は今、愛の意味を知ることだけのために生きている。そして、再び涙を流すためだけに生きている。